BlogPaint


















 この「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」という言葉は法律家の平野龍一氏が「現行刑事訴訟の診断」(団藤古稀祝賀論文第4巻、1985年出版、有斐閣)で述べられていて、当時の法律家の間で話題になりました。絶版本で手にいれるのが難しいので、少し引用します。(423ページ部分) あと、引用部分についての自分のコメントは次回、書きます。

 日本の裁判官その他の司法関係者は、そもそも法廷というところは真実を明かすのに適したところではないと考えているように思われる。人が相手に真実を語るのは、二人だけのところで、心を打ちあけて語るときであって、法廷のような公開の場所では、いろいろな方面への配慮から、思い思いのことをいうに過ぎない。法廷とは、いいたいことをいわせる儀式にすぎない。だから真実は、後でその模様を考えあわせながら静かに調書を読みこれとつきあわせることによってえられるものである、ということなのであろう。

 もしほんとうにそうであるならば、むしろ公判廷が証拠調べの場所すなわち心証をとる場所であるというフィクションは脱ぎ捨てた方がいいだろう。しかし、アメリカやドイツで本気で公判廷で心証をとろうとしているのを単なる教条主義とみていいのだろうか。調書もまた「種々の配慮」から、多くの真実でないものを含んでいる。それを「自室」で見抜く眼力を持っていると裁判官が考えるのは自信過剰であり、大部分は実は検察官・警察官の考えにのっかっているにすぎないのではないだろうか。最近の再審事件は氷山の一角としてそのことを示したのでなかろうか。

 ではこのような訴訟から脱却する道があるか、おそらく参審か陪審でも採用しない限り、ないのかもしれない。現実は、むしろこれを強化する方向に向かっているとさえいえるように思われる。わが国の刑事裁判はかなり絶望的である。

            【Amazon Bookmarket Live Link】

GA 芸術科アートデザインクラス OVA(初回限定版) [DVD]GA 芸術科アートデザインクラス OVA(初回限定版) [DVD]
出演:戸松遥
販売元:マーベラス エンターテイメント
(2010-04-02)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

 美術科がある高校に通っている女子高校生達の日常を描いた人気4コマ漫画をアニメ化した作品です。美術に興味がある人はもちろん楽しめますけど、美術に興味がない人も楽しめますので、ぜひ買ってみてくださいね。