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 最近、いろいろとコメントをいただく様になりました。国家権力から言論の自由が守られているありがたみを感じると共に、読んでくれる方のためにも良い文章が書ける様に頑張りたいと思います。そして、情報発信の機会を与えてくれるライブドア社にも感謝します。

 言論の自由を考えるとアメリカのシェンク事件が出てきます。英米法の権威である田中英夫氏が編集した「英米法辞典(田中英夫編、東京大学出版会)」にも、ホームズ判事(Oliver Wendell Homes)が明白かつ現在の基準(clear and present danger test)をうち出したものとして知られています、と説明していますが、スペースが足りなかったせいか、どんな事件か説明していないので、自分が代わりに説明します。

 第一次世界大戦中の時、当時の社会党の書記長であったシェンク(Charles T Schenck)氏は、アメリカ合衆国の政府がドイツとの戦争を行っているのに、少数の裕福な階級の利益にしかならない徴兵制度に反対する事を熱心に説明して、そのために徴兵制度の法律を廃止するための請願などの文章が書かれたビラを軍隊に召集された者に対して郵送したために、防諜法の共同謀議の違反に当たるとして起訴された事件です。

 陪審裁判で有罪の評決が出たので上訴しましたが、上告棄却を受けました。ホームズ判事は、これが通常時であれば、憲法上の権利の範囲内であったことを認めるが、あらゆる行為はその行為がなされた状況に依存している。言論の自由のもっとも厳格な保護下にあっても、混雑した劇場の中で、火事だと、偽って叫ぶ者を保護しないであろう。あらゆる場合で問題となるのは、明白かつ現在の危険を生み出す様な状況(circumstances)において使用され、その様な明白かつ現在の危険を生み出す様な性質を有するものかどうかである、といった判決文を書かれました。

 つまり、言論の自由が認めれていても、人に迷惑のかかる発言をしてはいけないし、戦争中は、国民を守るために、国家権力の力を大きくしなければいけないので、平常時なら問題がない発言でも、「明白かつ現在の危険」になる場合があり、言論の自由がかなり認めれなくなるということですね。

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