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 昨日(7/2 土曜日)のyahoo newsで、大阪地検特捜部が被疑者の取調べの時に、4日間もビデオ録画をしなかった問題について、被疑者がビデオ録画を拒否したからと説明していたそうです。もし、そうなら被疑者の弁護士を同席させて、取調べを行うべきですし、それが嫌なら、取調べの検察官面前調書なしで起訴するべきでしょう。起訴しても裁判官や裁判員が検察官の主張に疑問を持ちそうなら、不起訴処分にするべきです。

 あと、検察庁は取調べのビデオ録画化は捜査の支障にならない範囲で一部実施したいと主張し、いまだに取調べの一部始終の録画化を拒否していますが、虚偽自白に厳しい陪審法の改良復活という弁護士会や市民団体の運動を妨害する事によって、拷問による自白で、多くの冤罪事件を生み出し、免田事件をはじめとする4人の確定死刑囚が再審無罪になった事を思い出して欲しいものです。検察官上層部には「取調べ可視化ー密室への挑戦」(渡辺修著、成文堂)を読んで下さい。

 冤罪事件で、取調べの録画化が必要な事件は殺人事件でしょうが、厳密にいうと、人を死に至らしめる行為(Homicide)に犯罪用件が加わると殺人になります。アメリカでは殺意を持って計画的に人を殺害すると、謀殺(Murder)といい、第1級殺人(First Degree Murder)となります。ちなみに前回説明した故殺(Manslaughter)は第2級殺人(Second Degree Murder)となります。

 第1級殺人は最も悪質な殺人と位置づけられ、基本的に殺意を持ったうえに、事前に計画を練り、それに基づき人を殺す事を指します。計画的でなくても、殺害方法があまりにも残酷であった場合も謀殺が適用されます。さらに誘拐(Abduction)や放火(Arson)や強盗(Robbery)のうえ、人を殺害した場合にも謀殺で起訴できます。逃亡中に警察官や検察官や刑務官を殺害した場合も被疑者を謀殺で起訴できます。謀殺で起訴された被告人は、連邦と多くの州で死刑を求刑できるとされています。日本でいえば、2人以上殺害した容疑で起訴されると死刑を求刑できる様な感じです。

 ただアメリカと違って日本は陪審法が停止されたままだから、死刑を求刑されると冤罪事件でも確実に助かりません。たとえ裁判官が左遷される覚悟で無罪判決を出しても、裁判員裁判で無罪の評決が出ても、東電OL殺人事件の様に75%の確率で逆転有罪判決が出ます。だからこそ、民主党の小沢一郎氏には「取調べの可視化法案」をぜひとも成立して欲しいです。そうすれば、高裁や最高裁による逆転有罪判決も少しは減るでしょう。

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取調べ可視化-密室への挑戦―イギリスの取調べ録音・録画に学ぶ取調べ可視化-密室への挑戦―イギリスの取調べ録音・録画に学ぶ
著者:渡辺 修
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 平成時代における最大の冤罪事件である酒鬼薔薇聖斗事件のように、捜査機関が見込み捜査で任意同行や別件逮捕をして自白の強要をして、その自白がひとり歩きをして、無実の人が処刑されたり、人生を狂わせてしまうケースが後をたちません。そういった自白の強要を防止するために取り調べ中の完全録画が注目されています。冤罪事件に興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。