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 昨日の夜にyahoo newsを見ていたら、名張毒ぶどう酒事件の再審を認めないという報道がありました。名張毒ぶどう酒事件は、ジャーナリストの江川紹子氏が本を書いていますし、法律家のサイトでも紹介されていますが、1961年に三重県で、何者かによって、5人の方が毒殺された事件です。警察の見込み捜査で、殺害された女性の夫である奥西勝氏が起訴され、証拠が自白調書しかないため、一審で無罪判決を受けましたが、高裁で、逆転死刑判決を受け、最高裁で死刑が確定しました。

 法務官僚はともかく、一般人で奥西勝氏が真犯人と思っている人などいないでしょう。最近では宝島社から「日本の『未解決事件』100」という本が出版され、この中に、名張毒ぶどう酒事件が取り上げれているぐらいです。少し前の再審の時は、アメリカ人の心理学者が、自分の妻が殺害され、精神不安定になっている時に、取調べを受けていたために、やってもいない事をやったと告白したのだろうと、分析していましたが、再審を担当した裁判官は、やってもいない事をやったというわけがないと判断しました。

 やってもいない事をやったというのは、日本の冤罪事件のほとんどを占めていますし、旧陪審の初期の時でも、自白のみで起訴した事件がありました。名張毒ぶどう酒事件の再審無罪判決を出すと、一審の裁判官の判断が正しかったと法務官僚が認めるので、80歳を超えた奥西勝氏が亡くなるのを待って、この冤罪事件を闇に葬ろうとしているのでしょう。

 旧陪審なら、自白しかない奥西勝氏を無罪の評決が出るでしょうし、それも6人以上の無罪評決ではなくて、12人一致の無罪評決が出るので、裁判長も無罪判決をしぶしぶ出したでしょう。旧陪審法は欠陥だらけと言われていますが、被告人控訴が出来ない代わりに、検察官控訴も出来ないので、検察官控訴を認めている裁判員法より、はるかにマシです。

 日本国憲法39条で、「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」と規定していますが、最高裁は、これは検察官控訴を認めないのではなくて、「一時不再理」のみを保障したものであると解釈しましたが、一般人が読めば、検察官控訴の廃止という意味にしかとれません。それに検察官控訴を認めて、害になった事ならいくらでもありますが、役にたった事など聞いた事がありません。

 例をとると、河合栄治郎氏が2・26事件で高橋是清首相や斎藤実首相を暗殺した青年将校達を批判したために、検察から出版法違反で起訴された河合栄治郎事件で、逆転有罪判決で罰金刑が確定し、ジャーナリストが自由な言論活動を行う事が不可能に鳴りましたが、これでも検察官控訴を認めなければ、河合栄治郎氏の無罪が確定し、もう少し自由な言論が保障されていたはずです。だから、最高裁は検察官控訴を廃止にする判例を出して、奥西勝氏に再審無罪判決を出して欲しいです。

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ポスト平成ですごいことになる日本経済2.0 2020年までに生じる世界のリスクと新たな秩序



 平成時代が2019年4月末で終わり、現在の皇太子様が新しい天皇陛下になる新しい時代になります。その新しい時代になってから、イギリスのEU離脱をする問題や米中貿易摩擦の問題など、いろいろな課題や問題が起きると予想されていますけど、その問題の解決についてのヒントが書かれているので、ぜひ読んでみてくださいね。