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 1937年に起きた河合栄冶郎事件で無罪判決を出した石坂修一判事が法務官僚の圧力を受けて、左遷されたために、逆転有罪判決を受けました。それと同じ事が、1997年に起きた東電OL殺人事件で無罪判決を出した大渕敏和判事が法務官僚の圧力を受けて、左遷されたために、逆転有罪判決を受けて、今、弁護団が再審無罪を取れる様に頑張っているのですが、検察官控訴の廃止という規定があれば、こんな事にならなかったでしょう。

 日本国憲法39条の「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」という二重の危険の項目は、アメリカ合衆国憲法修正5条の「No person shall be subject for the same offence to be twice put in jeopardy of life or limb.」(誰もが、同一の犯罪について二度も生命や身体の危険にさらされてはならない。)という「Double Jeopardy」(二重の危険、検察官控訴の廃止)という法律用語からのコピーという事がわかると思います。おそらく、日本占領軍の司法改革担当者だったオプラー博士達が、河合栄冶郎事件が検察官控訴を認めたために、逆転有罪判決が起きた事を知って、日本国憲法にこの規定を入れたのでしょう。

 だから、本当なら、検察官控訴は憲法違反になるのですが、1950年9月27日に最高裁でこの問題の判決が下り、「無罪判決が確定すれば、その事件をむしかえす事が出来なくなるという『一時不再理』と解釈するという意味である。」とされました。この最高裁の法解釈のために、名張毒ぶどう酒事件では、逆転死刑判決が下った事を考えると、一刻も早く検察官控訴を廃止するべきでしょう。

 二重の危険の項目があるアメリカでも、服部君射殺事件で、射殺された日本留学生のカメラが銃に見えた可能性があったとして、無罪判決が確定しましたが、民事訴訟では、射殺したピアーズ氏が完全に敗訴しました。つまり、二重の危険の原則が適用されるのは、刑事裁判だけであり、実際は二度、審理される可能性があります。東電OL殺人事件や名張毒ぶどう酒事件で、無罪判決に文句があるのであれば、無罪判決を出した裁判官を左遷されて、圧力をかけるのではなく、民事訴訟をするべきだと思います。実際、両方の事件で民事訴訟を起こしても、法務官僚の圧力がかけられないので、被告の方が勝訴すると思いますが・・・。

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日韓の刑事司法上の重要課題 (日本比較法研究所研究叢書100)




 日本と韓国は取り調べ中に自白が強要されて、それがマスコミで事実のように報道され、それを批判すると、犯罪者の味方であるような世間の圧力があるために、裁判所も強要された自白のみで有罪を出してしまうケースがあります。そんな自白の強要というケースだけでなく、日本と韓国が抱えている刑事事件の問題点が描かれているので、興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。