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 ミッテルマイエル(K.J.Mittermaier)博士の「欧米における陪審裁判所の有効性についての経験」によると、大陸法系諸国に根強く残っている糺問主義という、中世ヨーロッパの異端尋問や江戸時代の刑事裁判の様に、1人の人間が検察官と裁判官を兼ねて捜査して、判決を出す刑事訴訟手続といった伝統を克服しないかぎり、形式を真似ても、なかなかイギリスの様な英米法諸国の様な陪審制度を実施する事が難しいと書かれています。

 日本人になじみのあるヴォルフガング・ミッテルマイエル氏も陪審制度の研究をしていますが、この論文を読む限りでは、別人だそうです。ヴォルフガング・ミッテルマイエル氏は、法律家のリープマン(M.Liepmann)氏と一緒に、ドイツの陪審制度が参審制度という裁判官と一般人が判決を下す制度になる過程をまとめた「陪審裁判所と参審裁判所」という論文が1908年と1909年に2巻分、出版された事があるとカナダの古本屋で買った本に書かれていました。

 ヨーロッパ諸国で、現在も陪審制度を維持している国は、スイスやベルギー、ギリシャ、デンマーク、スウェーデン、そして、陪審制度を復活したロシアやスペインですが、ロシアやスペインを除くと、ほとんどの国が、比較的小さい国ですが、ドイツなどの大きな国は、参審制度になります。フランスは、一応、参審制度の形をとりながらも実質的に陪審制度ですが、裁判制度というのは、抽象的に優劣がつけられない所があります。

 カナダに留学していた時に思った事ですが、アメリカやイギリスの様な英米法系諸国の陪審制度は、比較的、似たような制度であるのに対して、大陸法系諸国の陪審制度は多種多様の制度をとっています。ヨーロッパ諸国や日本に根強く残っている糺問主義と陪審制度のすり合わせが難しい事を指しているのかもしれません。

 日本でも、旧陪審法の時は、陪審員の評決を裁判長が採用するか、それとも陪審裁判のやり直しを命じるかどうか決定する権限があり、今のフランスの様な陪審制度と参審制度の中間といった感じの制度でしたし、今の裁判員法は、検察官控訴を認める参審制度の様な感じですから、実質的に大陸法系国家が陪審制度を導入する事の難しさを示しています。

 日本で、陪審制度を導入するきっかけのは、1910年に、社会主義者の幸徳秋水達が明治天皇の暗殺計画があった疑いで死刑になった大逆事件で、拷問による自白だけが証拠になったので、一般人を司法参加する事で、冤罪をできるだけ防ぐという目的がありました。だから、英米法系の陪審制度でなくても、拷問による自白を防ぐ事ができるなら、大陸法系の陪審制度でいいと思います。まあ、現実問題として、今の裁判員法をできるだけ改良して、いい加減な自白調書だけでは、有罪は取れない様に、法整備をしなければいけません。

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メンタリスト DaiGo
KADOKAWA
2018-04-02





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