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 ヨーロッパ大陸や日本の様に、実質的な大陸法国家で、陪審制度が成功している国として、あげるならスイスとデンマークでしょう。デンマークの陪審制度に関しては、「デンマークの陪審制・参審制」(日本弁護士連合会編、現代人文社)で、陪審制度の復活を目指している弁護士達が、デンマークの陪審制度や参審制度の調査報告書として、出版されているので、気になる人は本屋で注文してください。

 スイスの陪審制度についてですが、なぜ、スイスの陪審制度が成功しているのか、という背景ですが、これはカナダの古本屋で買った本の中に書いていたのですが、国民が共同体の仕事に関与する長年の習慣があり、陪審制度も上手くいく傾向があると分析しています。社会情勢や物事の処理の仕方がイギリスに似ているため、イギリスの様な陪審制度を身に付けることが出来たそうです。

 たしかに、陪審制度に限らず、外国の文化を吸収するという事は、ただ制度を真似るだけでなく、自分の国の文化に合う様に考えていかなければいけないという事でしょう。大場茂馬博士は、1915年に書かれた「陪審制度論」という本の中で、日本の陪審制度が成功とする目安として、「裁判の公正」と「裁判所に対する信頼」をあげられました。

 つまり、社会制度や裁判制度は、抽象的に優越を決める事ではなくて、具体的な社会的な条件のもとで、その国の国民から、歓迎され、また信頼を受ける内容を持っている事が一番大事な事である、と主張しているのでしょう。だから、ドイツや韓国の様に、陪審制度ではなくて、参審制度が自分達の文化に合っていると感じているのなら、それはいい事だと思いますし、その制度を守って欲しいと思います。

 ただ、日本の様に、多くの国民や陪審制度復活の市民団体が陪審制度を望んでいるのに、法務官僚の都合で、検察官控訴を認める参審制度である裁判員制度を作ったのは、やはり問題があると思います。もちろん、裁判員制度のおかげで、今までの様に、いい加減な捜査や逮捕が出来なくなり、裁判所の信頼を取り戻しつつありますが、裁判所が日本人から信頼されて、磐石の基礎を築くには、多くの日本人が望んでいる様な、国民の司法参加の形である陪審制度を復活してもらいたいです。

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デンマークの陪審制・参審制―なぜ併存しているのかデンマークの陪審制・参審制―なぜ併存しているのか
販売元:現代人文社
(1998-06)
販売元:Amazon.co.jp
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 ヨーロッパではイギリスを除いて参審制度という形の国民の司法参加をしている国が多いですが、世界一住みやすい国であるデンマークでは、陪審制度と参審制度の併存をしているシステムをとっています。この本ではそんなデンマークの司法システムを紹介しているので、興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。