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 ミランダ事件は、1963年にアメリカのアリゾナ州で、18歳の少女が男性に全裸にさせられ、性的暴行を受けた事件です。この事件で強姦をされたショックで、少女の証言がコロコロ変わったのに、警察官が無理に犯人を逮捕しようと思ったため、この少女の証言をもとに、性的暴行未遂事件の前科のあるミランダ(Ernest Miranda)氏を任意同行させ、自白をとれたので、検察官が起訴をして、陪審裁判で有罪評決が出ました。

 日本の旧陪審制度を思いだしてもわかる様に、陪審制度は自白だけでは、新犯人しか知りえない事をしゃべらいないと、有罪が取れないのに、なぜ誤った有罪評決が出たのかと言えば、おそらくミランダ氏に前科があった事が大きかったと思います。もし、ミランダ氏に強姦未遂事件で有罪判決を受けたという事を陪審員が知らなければ、少女の証言だけでは証拠不十分で、無罪評決が出たでしょう。

 証拠法の研究者として知られているウィグモア(John Henry Wigmore)氏が1935年に出版した「A Student's Textbook of the Law of Evidence」に、被告人が犯罪を犯す傾向が暴露されると、陪審員はその犯罪の事実認定に関係なく、有罪に傾いてしまう事が多い、と述べられていました。自分がカナダに留学していた頃には、被告人に前科がある事がわかると、裁判官の方が陪審員を退席させて、なるべく事実認定に影響を受けない様にしていましたが、ミランダ裁判の頃は、まだそういった配慮をしていなかったみたいです。

 それにしても、ウィグモアの証拠法関連の本は、カナダの古本屋でも販売していたのに、ミランダ事件の弁護人の方は、この本の事を読まれなかったのか、この本の内容を忘れていたのかわかりませんが、陪審員にこの本の内容を説明した上で、ミランダ氏に前科の経歴があり、少女が性的暴行を受けたのが事実ですが、今回、ミランダ氏がこの少女を性的暴行をしたかどうかは、証拠や証言を冷静に判断して欲しい、と語っていれば、ミランダ事件の有罪評決が出なかったかもしれません。

 2012年は、裁判員法の改正の年であり、取り調べの可視化法案や検察官控訴の廃止や裁判員を6人から9人に増やす事について、いろいろと議論が出ると思いますが、カナダの陪審裁判の様に、被告人に前科がある事が法廷で明らかになれば、裁判員を退席させる様な法律を作って欲しいです。2012年が日本の刑事司法が変わり、世界の人が平和になるきっかけになる素晴らしい1年である事を祈っています。

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メンタリストDaiGo
学研プラス
2019-03-05





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