エッセー

第8話「ミランダ事件の誤判について考えてみます」(8)

古事記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)古事記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
販売元:角川書店
(2002-08)
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 2009年5月に裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)が施行される直前になって、デモを起こした人達の1人とメール交換をした時の話ですが、裁判員法に反対する理由は、もともと陪審制度は日本人の国民性に合わないし、それは大正陪審法が当時の日本人にあまりにも人気がなかったという歴史的事実があり、第二次世界大戦後に復活させるはずだった大正陪審法や陪審制度の変形である裁判員法を導入するのは、あまりにも危険である、という意見でした。

 停止中の陪審法が人気がないから、復活させないというのが法務官僚の言い分ですが、大正陪審法が施行されたのが、1928年10月の事で、この後、ノモンハン事件や支那事件、そして大東亜戦争と近隣諸国の戦争に巻き込まれ、人権擁護の最大の防波堤である陪審制度も、戦争遂行の障害にしかなりませんでした。当時の司法省からの「陪審制度を廃止するべきだ。」という声に押されて、1943年に東条英機内閣により、「大東亜戦争終戦後に陪審法を復活させる。」という約束で、停止されました。

 だから、陪審制度が日本人に人気がなかったというのは、かなりおかしな理論です。それに、陪審制度は国民性に合わないという意見は、若槻礼次郎首相をはじめとする陪審法に反対された人が「日本人はフランス人の様に感情的に動くから、陪審制度を導入しても失敗するだけだ。」とおっしゃられましたが、フランスの陪審裁判で明らかに有罪だと思う人が、刑罰が苛酷であるのを避けるために、無罪評決を下した事がありましたが、そもそも、これは刑罰の量刑をもう少し緩やかにすればいいだけの話であるので、日本の刑事裁判も厳罰化ではなく、ある程度、緩やかにした方がいいと思います。

 こう反論すると、それは陪審員による法の無視(Jury Nullification)といわれるものだが、日本人は感情的になりやすく、決断力のない所があるから、陪審制度に向かないのである、と言われました。陪審員による法の無視は、陪審の拒否権(Veto Power)とも言われていますが、日本の場合、裁判官から説示を受けますし、裁判員裁判は、裁判官と一緒に事実認定をするので、あまりにも信じられない無罪は出ないのでしょうが、日本人は陪審制度に向かないとよく法務官僚を中心に言われていますが、日本人の国民性に合わないのなら、日本人の裁判官も刑事裁判に向かない、という矛盾が起きています。

 ネット言論を見ればわかるように、日本人にもそういった感情的になって議論をする人も、決断力の欠ける人もいますが、そういう人達も含めて、ネット言論で議論を重ねて、妥協点や新しい結論を探しています。ネット言論を読んでいると、日本人は自分の意見を議論するのが苦手だとは思えません。それに、古事記では、スサノヲノミコトが高天原(たかまがはら)を騒がしたという容疑の事実認定のために、八百万(やほよろず)の神々が天の安の河原に集まって相談して決めた、という内容がありました。

 それに、日本書記によれば、小野妹子が隋に使いをして、朝廷に戻る途中に、百済で隋の皇帝から託された国書を奪い取られたと、同僚の役人に弾劾されたのを、同僚の役人が集まって審議して、有罪判決を下しましたが、当時の天皇陛下が小野妹子の功労を考慮して、恩赦を出したという記録があります。つまり、別に日本人の国民性が陪審制度と合わない、と考えるのはおかしいでしょう。

 今の裁判員裁判で、誤った無罪判決なら、「疑わしきは被告人の利益に。」という刑事裁判の鉄則に従って、検察官は控訴をするべきではありませんし、誤った有罪判決なら、法解釈の専門家である裁判官が裁判員裁判の誤りをただせばいいだけの話だと思います。

第8話「ミランダ事件の誤判について考えてみます」(5)

GA -芸術科アートデザインクラス- (1) (まんがタイムKRコミックス)GA -芸術科アートデザインクラス- (1) (まんがタイムKRコミックス)
著者:きゆづき さとこ
販売元:芳文社
(2006-09-27)
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 裁判員制度(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)が施行される直前になって、デモに参加した人とメール交換をした事があるのですが、旧陪審制度に代わる裁判員制度に反対の意見として、当時の新聞の記事で、裁判員になりたくないという人が7割にも達するから、裁判員制度を施行するよりも、国選弁護人の報酬を増やしたり、取調べの完全録画化を実現して、司法が一部の刑事や検事による違法な取調べを防ぐ方が有効ではないのか、という反論が出ました。

 確かに一理ある説明だと感心しました。行政の暴走を防ぐのが、司法の役割であるのに、日本の裁判所所管の全体の支出額が約3000億円しかないのは、司法は行政と国会のおまけしか考えていない人が多いのかもしれません。だからこそ、もう一度、司法に国民を参加する事で、国民に司法の重要性を考えてもらいたいと思います。

 2005年4月17日の日本経済新聞で、内閣府が世論調査をして、裁判員になりたくないと回答して、不安や抵抗が根強いという結果が出ましたが、裁判員になりたくないと回答した人の意見で最も多かったのが、無実の人が誤って有罪にするかもしれない、という意見でした。1980年代になって、免田栄氏の様な確定死刑囚が、明らかな冤罪とわかり、再審無罪になったので、一般人が務まるのかと考えてしまうのでしょう。

 免田栄氏が強盗殺人犯と誤認逮捕されても、旧陪審法が停止していなれけば、完璧なアリバイがあるので、無罪評決が出たはずです。裁判員法では、検察官控訴が認められているので、逆転死刑判決が出る危険性がありますが、一般人と裁判官が協議して、無罪にしたから、検察官も余程の事がなければ、控訴しないでしょう。

 あと、自衛隊は各地に基地があったり、訓練の成果を一般公開したり、災害があれば救助にあたったりするので、一般人に触れる機会がありますが、裁判所にはそれがあまりないので、裁判官は自衛官と違って、あまり尊敬されてないという所があります。アラバマ物語(To Kill A Mockingbird)の映画でも描かれている様に、地元の子供達が裁判所に、気軽に立ち寄るシーンがあったり、裁判所の傍聴席が日本の様に少なくないという違いがあります。

 アメリカでは裁判所が身近な存在になっているのに、日本では裁判所があまり身近な存在ではないという所があります。自衛官は身近な存在になっているのに、裁判所はどこか閉鎖的な所があるので、裁判官にあまり敬意をはらってもらえない様な気がします。国民の司法参加で、裁判所が国民にとって身近な存在になり、アメリカの様に国民が裁判官に敬意をはらってもらえる様になってほしいです。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(13)

家栽の人 (1) (小学館文庫)家栽の人 (1) (小学館文庫)
著者:毛利 甚八
販売元:小学館
(2003-03)
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 ミランダ事件は、1963年にアメリカのアリゾナ州で、18歳の少女が男性に全裸にさせられ、性的暴行を受けた事件です。この事件で強姦をされたショックで、少女の証言がコロコロ変わったのに、警察官が無理に犯人を逮捕しようと思ったため、この少女の証言をもとに、性的暴行未遂事件の前科のあるミランダ(Ernest Miranda)氏を任意同行させ、自白をとれたので、検察官が起訴をして、陪審裁判で有罪評決が出ました。

 日本の旧陪審制度を思いだしてもわかる様に、陪審制度は自白だけでは、新犯人しか知りえない事をしゃべらいないと、有罪が取れないのに、なぜ誤った有罪評決が出たのかと言えば、おそらくミランダ氏に前科があった事が大きかったと思います。もし、ミランダ氏に強姦未遂事件で有罪判決を受けたという事を陪審員が知らなければ、少女の証言だけでは証拠不十分で、無罪評決が出たでしょう。

 証拠法の研究者として知られているウィグモア(John Henry Wigmore)氏が1935年に出版した「A Student's Textbook of the Law of Evidence」に、被告人が犯罪を犯す傾向が暴露されると、陪審員はその犯罪の事実認定に関係なく、有罪に傾いてしまう事が多い、と述べられていました。自分がカナダに留学していた頃には、被告人に前科がある事がわかると、裁判官の方が陪審員を退席させて、なるべく事実認定に影響を受けない様にしていましたが、ミランダ裁判の頃は、まだそういった配慮をしていなかったみたいです。

 それにしても、ウィグモアの証拠法関連の本は、カナダの古本屋でも販売していたのに、ミランダ事件の弁護人の方は、この本の事を読まれなかったのか、この本の内容を忘れていたのかわかりませんが、陪審員にこの本の内容を説明した上で、ミランダ氏に前科の経歴があり、少女が性的暴行を受けたのが事実ですが、今回、ミランダ氏がこの少女を性的暴行をしたかどうかは、証拠や証言を冷静に判断して欲しい、と語っていれば、ミランダ事件の有罪評決が出なかったかもしれません。

 2012年は、裁判員法の改正の年であり、取り調べの可視化法案や検察官控訴の廃止や裁判員を6人から9人に増やす事について、いろいろと議論が出ると思いますが、カナダの陪審裁判の様に、被告人に前科がある事が法廷で明らかになれば、裁判員を退席させる様な法律を作って欲しいです。2012年が日本の刑事司法が変わり、世界の人が平和になるきっかけになる素晴らしい1年である事を祈っています。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(12)

家栽の人 (2) (小学館文庫)家栽の人 (2) (小学館文庫)
著者:毛利 甚八
販売元:小学館
(2003-03)
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.ミランダ事件は、1963年にアメリカのアリゾナ州で起きた性的暴行事件です。性的暴行を受けた18歳の少女が事件のショックで、記憶があいまいになっていたために、証言がコロコロ変わり、事情聴取をしていた刑事達から、少女の証言に疑問を抱いていましたが、強姦事件が増加する傾向にあり、不安におびえる市民のために、少女の証言をもとに、性的暴行未遂事件の前科のあるミランダ(Ernest MIranda)氏を任意の事情聴取をして、自白をとったために、検察官が起訴をして、陪審裁判で有罪評決を取りました。

 幸いにも、合衆国最高裁判所が、この有罪判決を5対4で破棄しましたが、日本の最高裁なら、審議をせずに、上告棄却をして、有罪判決になったでしょう。日本の冤罪事件の特徴として、
①捜査機関(警察官や特捜検察の様な検察官)による見込み捜査
②捜査機関による別件逮捕や任意同行
③捜査機関による自白の強要
④検察側が裁判所に提出する証拠の貧弱さ
がありますが、これがミランダ事件の場合にも当てはまっています。

 刑事達が少女の証言が信頼出来ない、と判断して事件を取りやめていれば、こういった冤罪事件は起こらなかった、と思いますが、事件が起こった年のフェニックス市内の強姦事件は、152件も起きていて、当時の警察の間では、1970年頃には300件に達するだろうという予測があったそうです。ちょうど、日本で凶悪事件が起きたのに、犯人が特定できないので、警察が無理な捜査で、怪しいと思われる人物を別件逮捕したり、任意の事情聴取で、拘束して、拷問による自白を取る手口と同じ様なものです。

 あと、都合が悪くなると、捜査機関が証拠を偽造したりします。例えば、松川事件という列車転覆事件では、検察側が被告人のアリバイを証明するメモを隠していた事がありました。石島泰弁護士の的確な反対尋問のおかげで、検察官が隠していたメモの事がわかり、誤った死刑判決から、無罪判決になりましたが、ミランダ事件にも、アーネスト・ミランダ氏の車から、少女を縛ったとされるロープがあった、と警察官が説明していますが、真犯人なら、そんなロープを燃やして、証拠隠滅をしているでしょう。

 警察官や検察官に求めているのは、なるべく無実の人を逮捕したり、起訴しない様に努力する事です。最高裁が、ファイル共有ソフトのWinnyの製作者の逆転無罪判決を支持しましたが、凶悪事件の凶器を製作したメーカーも違法であると、捜査機関は思っていたのでしょうか。ファイル共有ソフトを悪用して、著作権法違反をした人を逮捕したり、起訴するのは、当然だと思いますが、捜査権の乱用をもう少し控えて欲しいし、そうでないと、ミランダ事件の様な冤罪事件が日本でも起きる様な気がします。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(11)

GA -芸術科アートデザインクラス- TVアニメビジュアルガイドブック (まんがタイムKRコミックス)GA -芸術科アートデザインクラス- TVアニメビジュアルガイドブック (まんがタイムKRコミックス)
著者:原作:きゆづきさとこ
販売元:芳文社
(2009-12-26)
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 ミランダ事件は、1963年に、アメリカのアリゾナ州で起きた、当時18歳の少女に対する性的暴行事件で、性的暴行未遂事件の前科のあるミランダ(Ernest Miranda)氏が起訴された事件です。検察側では、最初に、警察官が信用できないとした少女の証言とミランダ氏の自白だけしかないのに、陪審裁判で有罪評決が出たのか考えてみます。

 少女が男性に全裸にさせられ、性的暴行を受けた恐怖のために、少女が処女ではないし、抵抗出来なかったのに、男性に抵抗した事や処女喪失した事という願望が記憶になってしまった事や性的暴行を受けたのが深夜で、男性の顔が暗くてはっきりしなかった事を考えると、少女の証言はあてにならず、ミランダ氏は無実と考えるのが普通です。

 あまり絵を描かない人が似顔絵を上手く描けない理由を考えてみると、少女の証言が信頼出来ないのが良くわかるのですが、絵を描くという事は、人間が見た景色を脳がそれを処理して、スケッチブックに脳が処理した情報を再現します。つまり、人間は機械の様に正確ではないため、あいまいな情報がマスコミの情報や警察官の尋問や近所の噂を聞いたりして、誤った情報になってしまう事があります。

 「GA 芸術科アートデザインクラス TVアニメ ビジュアルガイドブック」(まんがタイムきららキャラット編集部編、芳文社)で、声優の堀江由衣氏が、サイン色紙に出演したキャラクターの絵を描こうと思ったけど難しくて出来なかった、とおっしゃっていましたが、人間は見ている様で、はっきりと特徴を捕らえて見ていない、という証明になっています。

 そのために、反対尋問(Cross Examination)といって、証人に対して、相手側からの質問に答えなければいけないのは、そのためです。双方からの質問に的確に答え、矛盾がなければ、証人の信頼性が高まりますが、反対尋問で、整合性の欠ける答えを出すと、信頼性が損なわれます。証人は宣誓をした上で証言するので、嘘をついた事が明らかになると、偽証罪(Perjury)で起訴される事があります。

 別に、少女が嘘をついているとは思っていませんが、ミランダ事件の場合、事件が起こった直後に、捜査官に対して、少女は犯人像について、最初は、28歳くらいのメキシコ系の男性と話したのが、捜査官が質問を続けると、イタリア系の男性と答えました。人間の記憶は時間が経過するにしたがって、記憶が薄れるのが普通なのに、あいまいだった記憶がはっきりするとは考えられません。

 ミランダ氏の弁護士もこのあたりを反対尋問で的確に攻めるべきだった、と思います。陪審裁判は、公平な裁判を期待できますが、無実の人が無罪になるのは、弁護士の能力にかかっている所もありますし、日本の裁判員裁判が陪審裁判に近づける事ができれば、日本の弁護士も的確な反対尋問をしようと努力すると思います。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(10)

家栽の人 (3) (小学館文庫)家栽の人 (3) (小学館文庫)
著者:毛利 甚八
販売元:小学館
(2003-04)
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 ミランダ事件というのは、1963年に、アメリカのアリゾナ州で起きた性的暴行事件の事です。詳しく説明すると、1963年3月2日(金曜日)に、フェニックス市内の映画館の軽食堂で働いていた、当時18歳の少女が仕事を終えて、同僚と一緒に、午後11時45分発バスに乗って、1人で下車して、自宅へ向かっていたところ、突然、走り出してきた車にひかれそうになり、その車から1人の男性が、18歳の少女の口を塞いで、「騒ぐな!」と言いながら、少女を車に押し込み、手足をロープで縛り、車で20分くらいの所にある砂漠地帯に連れて行かれました。

 その後、車の車内で、男性が少女を全裸にした後に、性的暴行を受けました。性行為が終わった後、男性が少女に衣服を着るように言った後、現金を要求したので、少女が1ドル紙幣4枚を渡しました。その後、男性が車で少女を自宅近くまで送りとどけました。そして、少女が泣きながら、少女の母親と姉と義理の兄に事情を話したので、この事件が発覚しました。

 少女から事情を聞いた捜査官は、少女を検査のために病院に連れていきました。連絡を受けて、フェニックス市内の刑事が病院で少女から、事情を聞きました。犯人像について、細身の28歳くらいのメキシコ系男性と最初は答えましたが、さらに質問されると、イタリア系男性かもしれない、と答えが変わりました。

 さらに、この事件で、少女が処女喪失した事や抵抗した事を主張しましたが、膣内分泌物から精液が検出されたので、性的暴行を受けた事は事実とわかりましたが、少女の身体には、擦過傷などの抵抗の跡が認められず、少女が処女喪失していなかった事がわかり、刑事達は少女に、警察に虚偽の犯罪事実を報告すると処罰される事を警告しました。

 それなのに、警察官が強姦事件が増加して、不安になっている市民を安心させるために、少女の証言をもとに、強姦未遂事件の逮捕歴のあるミランダ氏(Ernest Miranda)を連行して、虚偽自白を生みだしたわけですが、少女は虚偽の証言をした訳ではないと思います。有罪評決を下した陪審員も、少女は嘘を言っていない、と判断したのでしょう。日本でも、捜査官による、すさまじい取り調べで、被疑者の記憶がだんだんと麻痺してしまい、やってもない事をやったと言う事は、数えきれないほどあります。

 少女が男性から全裸にさせられ、性的暴行を受けて、殺されるかもしれないという恐怖心から、抵抗しないといけない、と思っている事と恐怖のあまり抵抗出来なかった現実が、少女の記憶に混ざってしまったのでしょう。そのため、少女が抵抗した事と処女喪失した事が事実だと思って、刑事達に報告したのだと思います。自分達の様な日本人でも、この少女に同情をして、新犯人を逮捕して欲しかったと思いますが、この目撃証言は完全に信用は出来ません。もし、この時代に、今の様な精度の高いDNA鑑定があれば、ミランダ氏は起訴出来なかったでしょう。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(9)

家栽の人 (4) (小学館文庫)
著者:毛利 甚八
販売元:小学館
(2003-04)
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 ミランダ事件というのは、1963年にアメリカのアリゾナ州で起こった性的暴行事件で、ミランダ(Ernest Miranda)氏が、当時18歳の少女を性的暴行をしたという容疑で、警察署に連行されて自白をしたために、ほとんど証拠がないのに、この自白を信用するかどうか問題になりました。

 アリゾナ州の陪審裁判で有罪評決を受け、アリゾナ州の最高裁でも有罪判決を維持しましたが、合衆国最高裁判所は、「私達は、これを破棄する。警察官の証言から、そして検察側の承認するところによっても、ミランダはいかなる意味においても、弁護人と相談し、取り調べ中に弁護人を立ち会わせる権利を告知されていなかった事、そして自己自身の自白を強要されないという権利を他の何らかの方法で効果的に保護されなかった事も明らかである。彼が『法律上の権利』を『十分に理解した』様な記載の文言を含んだ供述書に署名したという事実は、憲法上の権利を放棄するために、必要とされる十分に理解して、理性的に放棄したという事にはならない。」として、5対4で有罪判決が破棄され、一審に差し戻されました。

 そして、アメリカ最高裁判所が、被疑者の権利を実質的に保障するため、
Before we ask any questions, you must understand your rights
(質問される前に、君は自分の権利を知っておく必要があります。)
①You have the right to remain silent.
(君には、黙っていい権利があります。)
②Anything you say can be used against you in court.
(君の言う事が法廷で、君の不利に使われる事があります。)
③You have the right to talk to a Lawyer for advise before we ask you qusetions and to have him with you during qusetioning.
(君は、弁護士と話して、助言を求める権利があり、取り調べ中の間も一緒にいてもらう事が出来ます。)
④If you cannot afford a lawyer,one will be appointed for you before any questioning if you wish.
    If you decide to answer qusetions now without a lawyer present, you will still have the right to stop answering at any time.You also have the right to stop answering at any time until you talk to a lawyer.
(弁護士を雇うお金がなく、希望するなら、取り調べの前に、国費で1人つける事が出来ます。もし、弁護士の立会いなしで、質問に答える事に決めても、君はいつでも止めていい権利があります。弁護士に話すまで質問に答えるのを止めたいのなら、君にはそうする権利があります。)
という「ミランダ警告」という規則を作りました。これに違反すると、捜査機関が自白をとっても、証拠にする事が出来ません。

 「ミランダ警告」は、日本の法学部を出た人やアメリカ人なら、誰でも知っているくらい有名なので、被疑者取り調べ関係の法律書や司法論文で取り上げていますし、陪審法の復活を目指している市民団体の方も注目していますが、肝心のミランダ事件についての誤判の研究が少しおろそかになっている様な気がします。停止中の陪審法が改良復活するにしても、裁判員法をできるだけ陪審制度に近づけるにしても、ミランダ事件を陪審員が有罪評決をしたのかを考えて、日本の刑事裁判に活かすべきだと思います。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(8)

家栽の人 (6) (小学館文庫)家栽の人 (6) (小学館文庫)
著者:毛利 甚八
販売元:小学館
(2003-05)
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 ヨーロッパ大陸国家や日本などの実質的に大陸法をとっている国には、糺問主義といって、1人の人間が検察官と裁判官を兼ねて、事件を捜査して、判決を出す訴訟手続をする考えかたがあります。日本を含め、ヨーロッパ諸国に陪審制度が導入された当時、ほとんどの国は、単に陪審裁判所の構成を定めるために、裁判所法の一部を改正して、陪審裁判の審理に適用するだけに過ぎなかった事が原因だったと思います。

 応急措置の手直しですましたために、根本的な刑事訴訟法の改革を行わなかったので、糺問主義の様な刑事訴訟法の基盤にしておいての陪審制度をそのままにした状態では、非常な障害になりました。裁判官と一般人が刑事裁判の事実認定をする参審制度なら、比較的、論理的な構造を持っているので、大陸法系の刑事訴訟法と極めて調和しやすい性格を持っている、とミッテルマイエル(K.J.Mittermaier)博士の「欧米における陪審裁判所の有効性についての経験」で述べられています。

 参審制度を代表する国であるドイツは、論理的な考え方や専門的知識の重視する人が多い事や官僚が国家権力の増大を狙っている事情があるので、官僚裁判官が主役で、一般人が脇役であり、官僚裁判官が視野が狭い点を一般人が補助する参審制度が定着したのでしょう。

 だから、日本でも「2ちゃんねる」をやられている人は非常に論理的な考え方をして、専門的知識を持っている方が多くて、官僚が国家権力の増大を狙っているので、停止中の陪審法を復活するよりも、参審制度がいいと考えている法律家が多いのですが、それなら検察官控訴を廃止して、ドイツの様に裁判官の人事権を独立する必要があります。裁判官の人事権を独立するには、刑事裁判の経験がある弁護士が参審制度の裁判官に起用する法曹一元制を導入するべきです。

 法務官僚が無罪率0.1%という独裁国家の様な実績を守るために、裁判官の人事権の独立を妨害するのであれば、やはり停止中の陪審法を改良復活する方が早いです。フランスや日本の様に、陪審制度と参審制度の中間の様な陪審制度なら、大陸法の糺問主義がかかった制度に調和します。陪審制度を導入しなければいけない理由は、拷問による虚偽自白で、無実の人が有罪になってしまった教訓があるからです。

 カナダの陪審裁判を見学して、納税者である国民が主役になり、裁判官が陪審員をコントロールするという英米法の陪審裁判に感動しましたが、それを見て、オプラー博士達が英米法系の刑事訴訟法に改正しようとしましたが、日本は大陸法国家だなあ、と感じました。日本にとって理想的な陪審制度は、フランスの様に、裁判官3人と陪審員9人による刑事陪審にするべきだと思いました。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(6)

日本 権力構造の謎〈下〉日本 権力構造の謎〈下〉
著者:カレル・ヴァン ウォルフレン
販売元:早川書房
(1990-09)
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 ミッテルマイエル(K.J.Mittermaier)博士の「欧米における陪審裁判所の有効性についての経験」によると、大陸法系諸国に根強く残っている糺問主義という、中世ヨーロッパの異端尋問や江戸時代の刑事裁判の様に、1人の人間が検察官と裁判官を兼ねて捜査して、判決を出す刑事訴訟手続といった伝統を克服しないかぎり、形式を真似ても、なかなかイギリスの様な英米法諸国の様な陪審制度を実施する事が難しいと書かれています。

 日本人になじみのあるヴォルフガング・ミッテルマイエル氏も陪審制度の研究をしていますが、この論文を読む限りでは、別人だそうです。ヴォルフガング・ミッテルマイエル氏は、法律家のリープマン(M.Liepmann)氏と一緒に、ドイツの陪審制度が参審制度という裁判官と一般人が判決を下す制度になる過程をまとめた「陪審裁判所と参審裁判所」という論文が1908年と1909年に2巻分、出版された事があるとカナダの古本屋で買った本に書かれていました。

 ヨーロッパ諸国で、現在も陪審制度を維持している国は、スイスやベルギー、ギリシャ、デンマーク、スウェーデン、そして、陪審制度を復活したロシアやスペインですが、ロシアやスペインを除くと、ほとんどの国が、比較的小さい国ですが、ドイツなどの大きな国は、参審制度になります。フランスは、一応、参審制度の形をとりながらも実質的に陪審制度ですが、裁判制度というのは、抽象的に優劣がつけられない所があります。

 カナダに留学していた時に思った事ですが、アメリカやイギリスの様な英米法系諸国の陪審制度は、比較的、似たような制度であるのに対して、大陸法系諸国の陪審制度は多種多様の制度をとっています。ヨーロッパ諸国や日本に根強く残っている糺問主義と陪審制度のすり合わせが難しい事を指しているのかもしれません。

 日本でも、旧陪審法の時は、陪審員の評決を裁判長が採用するか、それとも陪審裁判のやり直しを命じるかどうか決定する権限があり、今のフランスの様な陪審制度と参審制度の中間といった感じの制度でしたし、今の裁判員法は、検察官控訴を認める参審制度の様な感じですから、実質的に大陸法系国家が陪審制度を導入する事の難しさを示しています。

 日本で、陪審制度を導入するきっかけのは、1910年に、社会主義者の幸徳秋水達が明治天皇の暗殺計画があった疑いで死刑になった大逆事件で、拷問による自白だけが証拠になったので、一般人を司法参加する事で、冤罪をできるだけ防ぐという目的がありました。だから、英米法系の陪審制度でなくても、拷問による自白を防ぐ事ができるなら、大陸法系の陪審制度でいいと思います。まあ、現実問題として、今の裁判員法をできるだけ改良して、いい加減な自白調書だけでは、有罪は取れない様に、法整備をしなければいけません。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(1)

嫌われ者の流儀嫌われ者の流儀
著者:堀江 貴文
販売元:小学館
(2011-06-14)
販売元:Amazon.co.jp
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 英米法系の刑事裁判では、当事者主義(Adversary System)をとります。これは、原告と被告人の当事者が、裁判官の前で、お互いの主張をぶつけて、論争によって、判決を下してもらうという手法です。対立する当事者同士が、公平な審判の前で、勝敗をつけるという意味です。かつて、ヨーロッパ諸国や日本で、剣を使った決闘が、刑事裁判に変わったという歴史があるそうです。

 今の日本の刑事裁判でも採用されている当事者主義は、検察官を国家権力の代理人(Attorney)として、もう一方の当事者である被告人の代理人である弁護士と対決して、真実を見つけ出す事を目的としますが、日本の場合、裁判官の人事権が法務官僚に握られているので、停止中の陪審法を改良復活するなどして、この問題点を改善しないと、全く意味がありません。

 当事者主義と相対するのが、大陸法系の糺問主義(Inquisitorial System)です。または職権主義ともいいます。糺問主義とは、1人の人間が検察官と裁判官を兼ねて、事件を捜査して、判決を下してもらうという刑事訴訟手続の事です。Inquisitorialとは、「宗教裁判所の様な」という意味があり、中世カトリックの異端尋問が刑事裁判に変わったという歴史があるそうです。

 日本でも、遠山の金さんという人気のあった時代劇があり、主人公の金さんが事件を捜査して、容疑者を逮捕して、白州で裁判をして、判決を下すという「お白州裁判」と呼ばれている刑事裁判が江戸時代に行われていましたが、「嫌われ者の流儀」(堀江貴文著、茂木健一郎著、小学館)という対談本でも、堀江貴文(ホリエモン)氏が、今の刑事裁判は、江戸時代のお白州裁判に近代刑事裁判の衣を着せただけだ、と指摘しました。

 アメリカの法律家の中には、法解釈に影響を及ぼす陪審制度を嫌っている人がいると、カナダで買った本に書いてありましたが、それでも陪審制度が日本の様に停止されないのは、官僚の権限がそれほど大きくないのでしょう。日本のお白州裁判とヨーロッパの異端尋問の裁判はかなり似た様な所があり、日本にしても、ヨーロッパ諸国にしても、官僚の権限が非常に強くて、そのために、陪審制度の様に、治安の安定を目的にする国家権力にとって都合の悪い存在を何とかして封じこめようとしているのかもしれません。

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」

生徒会の一存2 (角川コミックス ドラゴンJr. 143-2)生徒会の一存2 (角川コミックス ドラゴンJr. 143-2)
著者:10mo
販売元:富士見書房
(2009-10-10)
販売元:Amazon.co.jp
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 自分が1996年から1年間ほど、カナダに留学している時に、カナダ人の友人から、「なぜ、日本で停止中になっている陪審法を再起動させるのが難しいのですか。」と質問された事がよくありました。確かに復活を予定しながら、50年以上も停止している法律など、日本の大正陪審法くらいしかないと思います。陪審法の改良復活にかかわっている人なら、日本の法務官僚の権限があまりにも大きく、刑事裁判の事実認定を国民にゆだねる陪審法を導入するのも嫌がりますし、たとえ法務官僚が刑事裁判に一般人を関わらせても、大正陪審法や裁判員法の様に欠陥を作り、国民に司法参加をさせるのを嫌がります。

 日本はヨーロッパ大陸の様な大陸法国家に属していて、官僚の権限が大きいというのは、カナダに留学が決まる前から、陪審法関係の本や法律書を読んでいたので、なんとなくわかっていました。カナダで読んだ本の中に、アメリカのシカゴ大学の法律家の方が、日本の陪審法が定着しなかった理由をいろいろ研究していて、日本は大陸法国家の様に官僚の権限が大きく、アメリカ占領軍が司法改革で、英米法の様に当事者主義(Adversary System)といって、裁判官の前で、検察官と弁護士のお互いの主張をぶつけて、裁判官が結論を出す手法に変えても、検察官の強大な権限が変わらないからではないか、と分析していたそうです。

 このシカゴ大学の法律家の本を直接見たわけではないので、詳しい事はわかりませんが、確かに、ヨーロッパ大陸で陪審制度を導入しても、裁判官と一般人が一緒になって事実認定をする参審制度になりやすくなる傾向があります。日本の大正陪審法でも、法務官僚の凄まじい反発で、陪審員の評決が気に入らなければ、陪審裁判のやり直しが出来るという制度ができましたし、停止中の陪審法を改良復活するはずだったのが、参審制度に、検察官控訴を認める裁判員制度ができあがりました。

 カナダ人から、「日本の民主主義はポーランドの様に弱い。」とよく言われましたが、日本はヨーロッパ大陸国家によく似ています。大陸法系諸国は、日本も含めて、なぜ陪審制度が定着しないのか、という理由を知りたくて、カナダで買った本を読んだり、カナダの陪審裁判を見学して、いろいろ自分なりに考えました。

第4話「陪審制度は平和と安全の試金石」(7)

しろうとでも一冊本が出せる24の方法 (祥伝社黄金文庫)しろうとでも一冊本が出せる24の方法 (祥伝社黄金文庫)
著者:横田 濱夫
販売元:祥伝社
(2001-09)
販売元:Amazon.co.jp
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 今日は日曜日なので、クーラーのきいた喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら、カナダで買った法律書を読みました。その本の中で、暴力を行使しないで、他人の財産を盗む事を窃盗罪(Larceny)といいますが、スリ(Pickpocketing)や万引き(Shoplifting)についての判例もいろいろ書かれていたので、今回は万引きについて話したいと思います。

 大学時代につき合っていた彼女と大型書店に買い物に行った時、彼女が万引きをしようとした女子高校生達に注意しようとしたので、その女子高校生達が自分達に向かって、すごい顔で睨みつけられた事がありました。これを見て、万引きをしようとしている女子高校生達には罪悪感がないのか、という事に驚かされました。万引きする金額が小さいからたいした事ではないのだろうと考えているのか、孔子の「自分がされて嫌な事は他人にしてはならない。」という教えを知らないのか、わかりませんでした。

 そういえば、アメリカでは、盗んだ金額が大きくなると重盗罪(Grand Larceny)が適用され、刑罪が重くなりますが、禁固や懲役1年以上の犯罪を重罪(Felony)といって、実刑によって罰せられ、1年未満の犯罪を軽犯罪(Misdemeanor)といい、執行猶予つきの有罪判決や保護観察など実刑が伴わない刑罰です。あと、日本の大型書店で、万引きで捕まえられると、警察官に引き渡され、検察官が起訴して、裁判所が執行猶予つきの有罪判決を下されます。昔の日本では、町の本屋の店長が学校の先生や両親に連絡するだけだったのですが、こうなってしまったのは、本屋の経営が厳しくなったという原因があります。

 「しろうとでも一冊本が出せる24の方法」(横田濱夫著、祥伝社)という本の中に、本の売上の22%が本屋の売上になり、その売上が本屋のパートの給料やテナント代や光熱費で、ほとんど消えてしまう、と説明しています。つまり、逆に考えると、万引きされると、78%の損失を出す事になります。500円の本が万引きされると、その穴埋めのために2000円くらいの売上を余計に出さなければならないので、本屋の経営が厳しくなり、倒産が増えてしまい、犯罪抑止力のために、厳罰化の声が強まってしまい、執行猶予で前科のつかなかった人が前科者になってしまい、就職が難しくなり、犯罪に走ってしまうといった悪循環になっています。

 万引きしようとした女子高校生達が睨みつけられたのが、15年くらい前の話なので、あの女子高校生達も30歳くらいになり、結婚をして子供もいるのかもしれません。子供は親の背中を見て育つといいますから、子供が万引きに走らない様に立派な母親になっていて欲しいです。彼女が注意した事に反発はしたけど、心の中で真剣に反省している事を願います。

第4話「陪審制度は平和と安全の試金石」(6)

上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫)上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫)
著者:童門 冬二
販売元:PHP研究所
(1990-08)
販売元:Amazon.co.jp
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 今日、ネットを見ていたら、7/7(木曜日)の午後に福岡市のマリノアシティというショッピングモールにあった観覧車を撤去しようとして、観覧車が転倒して、車4台が壊れ、作業をしていた方が怪我をするという事故があったそうです。福岡県のネットジャーナリストの方が写真と一緒に事故の説明をしていましたが、死者が出る事故でなくて、本当によかったです。自分はyahoo newsやlivedoor newsぐらいしか見ないので、こういったローカルニュースを流してくれる方はありがたいです。

 マリノアシティの観覧車は、当時つき合っていた彼女と乗った事があります。かなり高い観覧車なので、博多の町や港がよく見えてよかったのを覚えています。そういえば、デートの時の待ち合わせのために「上杉鷹山の経営学」(童門冬二著、PHP研究所)の文庫を持っていました。

 マリノアシティとは全然関係ないですが、今回は暴行(Assault)について説明します。Assaultとは、戦闘における攻撃を指しますが、法律用語では、暴力で他人の身体に危害を加える行為、または害を与える様な行為をさします。つまり、実際に相手の肉体に危害を与えるだけでなくて、暴行未遂も含まれます。だからアメリカでは、暴行が行われていた事をはっきりさせるために、暴行傷害(Assault and Battery)という言いまわしをします。

 あと、危害の加え方が悪質だったり、被害者の怪我や負傷の程度が大きい場合は、加重暴行(Aggravated Assult)になります。これは、暴行が行われる時に、ナイフや銃などの武器を使ったり、身体に著しい打撃を与えたりした場合に適用されます。日本でもプロのスポーツ選手が一般人に暴力を使うと、傷害罪に問われてしまいますが、これはスポーツ選手の鍛え上げた身体が、ナイフや銃の様な凶器であるという解釈をするからです。相撲の朝青龍が酔っぱらって、一般人に暴力をふるったため、引退した事がありましたが、個人的には、本人も真剣に反省していたのだから、相撲協会も朝青龍を引退させなくてもよかったのではないかとyahoo newsの相撲ニュースを読みながら思いました。

第4話「陪審制度は平和と安全の試金石」(4)

取調室の心理学 (平凡社新書)取調室の心理学 (平凡社新書)
著者:浜田 寿美男
販売元:平凡社
(2004-05)
販売元:Amazon.co.jp
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 昨日の夜、仕事が終わり、車に乗ろうとしたら、警察官から不審尋問を受けました。仕事の残業が終わって、コンビニでペットボトルとおにぎりを買って、車で家に帰るところです、と説明したのに、全然信じてもらえませんでした。仕事先とか家族構成とか下宿先とかいろいろ聞いてくるので、全部説明したのに、さらに荷物検査を受けました。いろいろ質問を受けているので、何かあったのですか、と聞いてみたけど、不審者がいたという通報を受けたからと言われました。どうも質問を受けているうちに、警察官の方は自分がパトカーを見て、目を背けた様に見えたから、不審者と勘違いしているみたいだとわかりました。

 不審尋問を受けているうちに、東電OL殺人事件の犯人にされたゴビンダ氏の苦労がよくわかりました。自分が潔白である事をいくら説明しても、警察官の先入観があまりにも強すぎるために、いくら説明してもわかってくれないむなしい気持ちになってしまいます。警察官の方には「取り調べ・自白・証言の心理学」(ギスリー・グットジョンソン著、酒井書店)を読んで欲しいなあと思いました。この本には取り調べでの虚偽自白をできるだけ防ぐための尋問技術についていろいろと書かれている専門書で、1996年に発売された時は多くの心理学者や弁護士に読まれたそうです。せめて、この本を翻訳した一人でもある心理学者の浜田寿美男氏による「取り調べの心理学」(浜田寿美男著、平凡社)くらいは読んで下さいと言いたかったのですが、あまりの高圧的な態度のために言えませんでした。

 刑事訴訟法では、任意同行でも、本人が取り調べをしたくない、と言えば、いつでも帰れますが、警察官2名が自分の横を取り囲んでいるので、とても帰れる様な雰囲気ではありませんでした。それに東電OL殺人事件では、裁判所上層部が刑事訴訟法を堂々と無視した例があるので、警察官が刑事訴訟法を守るとはとても思えず、とりあえず尋問を受けていました。

 山口県下関市で起きた殺人事件が迷宮入り(Cold Case)しそうだから、山口県警があせっているのではないか、と思いました。確か山口県警が地元の大学生に対して逮捕状を請求したとyahoo newsで紹介されたけど、逮捕されたという記事が見当たらなかったので、裁判所が冤罪事件と判断して、逮捕状を出さなかったのでしょう。

 もう少し警察官による尋問が続きますが、また次回、書きますので、よろしくお願いします。

第4話「陪審制度は平和と安全の試金石」(3)

咲-Saki-(8) (ヤングガンガンコミックス)咲-Saki-(8) (ヤングガンガンコミックス)
著者:小林 立
販売元:スクウェア・エニックス
(2011-06-25)
販売元:Amazon.co.jp
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 今日の昼休みに「咲ーSAKIー」(小林立著、スクウェア・エニックス)を読みました。昨日の夜に本屋に行くと、久しぶりに新刊が出ていたので、買いました。漫画は小説と違って、すぐに読めて便利なので、会社の昼休みに読めます。アニメ化第2期も決定したそうなので、アニメのDVDが出たら、DVDをレンタルして、自分のパソコンで見ようと思います。

 前回、強盗(Robbery)について少し説明しましたが、厳密にいうと、他人の財産を盗む意図を持って、暴力もしくは脅迫によって奪い取る行為を指します。基本的に被害者から直接またはその面前で盗む事が強盗罪の成立要件です。アメリカでは、銃などの武器を使用して被害者を脅せば、刑罰が重くなります。

 これを加重強盗(Aggravated Robbery)といいます。犯罪者が強盗目的で他人の住居に侵入したけど、無人だったので、誰も傷つけずに金品を奪って、逃走した場合は強盗罪が成立せずに、不法侵入罪や侵入窃盗罪(Burglary)が適用されます。Burglaryは単純窃盗罪(Larceny)よりも悪質であり、日本でいう空き巣を防ぐために、他人の住居に強引に侵入した人を罰するために設けられた法律です。

 強盗について書くと、1929年に起きた説教強盗事件の事を思いだします。昭和恐慌のために職を失った妻木松吉氏が妻子を養うために、空き巣を繰り返し行い、警察が事件現場に残っていた指紋を手がかりにして、妻木松吉氏を逮捕した事件です。この事件の無料弁護を引き受けた弁護士のアドバイスに従い、陪審裁判を選択せずに通常裁判でなるべく刑罰を軽くしようと努力しましたが、無期懲役の判決を受けました。

 説教強盗事件は今の日本の様に生活保護がしっかりとしていれば、妻木松吉氏も生きていくために犯罪を犯す事はなかったでしょう。最近、日本の厳罰化がどんどんひどくなっていますが、低所得者のためのセフティーネットのおかげで、せっかく犯罪率が低くなって来ているのに、こんな事をすれば、犯罪率が上がってしまうというしっぺ返しが来るかもしれません。

第4話「陪審制度は平和と安全の試金石」(1)

緋色の十字架〈上〉 (ヴィレッジブックス)緋色の十字架〈上〉 (ヴィレッジブックス)
著者:キャサリン サトクリフ
販売元:ソニーマガジンズ
(2006-03)
販売元:Amazon.co.jp
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 昔、つきあっていた彼女が「緋色の十字架(キャサリン・サトクリフ著、ソニーマガジンズ)という本を読んでいて、「故殺って何?」と聞かれました。故殺(Manslaughter)というのは、計画性が薄い殺人罪の事です。日本の殺人罪は懲役3年から死刑まで幅が広いですが、計画性がある殺人とない殺人では、裁判官が言い渡す刑罰もかなり違ってきますが、アメリカの多くの州では故殺の場合、死刑が求刑される事がまずありません。ちょうど、日本で1人殺人を犯したとしても、検察側は無期懲役を求刑する様な感じでしょうか。

 日本でもアメリカでも、殺人罪の構成要件として大事なのは、殺意と計画性ですが、両方ともないか、検察側がそれを証明出来ない場合は、謀殺 (Murder)から1ランク下げて故殺で求刑します。あと、故意故殺(Voluntary Manslaughter)というのは、相手の挑発により激情にかられて殺害した場合です。相手の挑発がすさまじく、同情の余地があるけど、やむを得ないにせよ、殺人そのものを正当化する事が出来ない場合、非故意故殺(Involuntary  Manslaughter)となります。

 さらに犯罪の悪質さが低いものとして、過失致死(Negligent Homicide)があります。日本では、業務上過失致死罪として有名ですが、車を運転中に誤って人をはねて死なせたり、トラックとの衝突事故で、死者が出てしまった場合です。あと、飲酒運転の事故は、今の日本では危険運転にあたりますが、アメリカの場合、故殺になります。

 服部君射殺事件の様に、相手が銃を持っているに違いないと勘違いして射殺してしまったけど、緊急の生命の危機から、自分もしくは他人を守るためにやむを得ず殺害してしまったという正当防衛が認められれば、正当防衛殺人(Justifiable Homicide or Excusable Homicide)となり、刑事責任は問われないのですが、民事責任を問われる場合もあります。あと、日本でも殺人が起きますが、殺人とかが起きて欲しくはありませんし、警察の面子のために、無理な捜査による冤罪も起きて欲しくはありません。何事もなく平凡に人生を送るのが一番だと思います。
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