裁判所の独立

第7話「大陸法系諸国において陪審制度が栄えない理由とは」(15)

咲-Saki 2 (ヤングガンガンコミックス)咲-Saki 2 (ヤングガンガンコミックス)
著者:小林 立
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(2007-05-25)
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 ミランダ事件は、1963年3月2日(金曜日)の深夜、18歳の少女が仕事からの帰宅途中に、男性から全裸にさせられ、性的暴行を受けた事件です。この事件のショックのために、少女の記憶が混乱して、少女の証言が信頼出来なかったと警察官もわかっていたのに、犯人を捕まえて欲しいという市民感情に押されて、無理な捜査をしたために、性的暴行未遂事件の前科のあるミランダ(Ernest Miranda)氏を任意同行させ、自白を得たので、検察官が起訴にふみきり、陪審裁判で有罪評決になりました。

 少女の証言がコロコロ変わり、信頼出来ないにもかかわらず、有罪評決になったのは、ミランダ氏に前科があり、それが陪審員の心証に影響を与えてしまったのではないかと思います。ミランダ氏に前科があっても、この事件と区別して考えなければいけないというのは、誰でもわかっているのですが、日本で裁判官や裁判員が事実認定をする時に、被告人の前科があるから、証拠や証人があいまいで、証拠不十分で無罪にしなければいけないのに、有罪にした方がいいのではないかという結論になってしまう可能性があります。

 欠陥が多い裁判員制度でも、なるべく公平にしようとするなら、どんな重大事件でも、マスコミが事件の内容や裁判の結果だけを伝えて、裁判所が法解釈の拡大をしたり、検察官が被告人に有利な証拠を隠す様な一般人でもわかる事をした時だけ、国民に伝える様にしなければいけません。そういう事を心がけているのが、知識人から馬鹿にされているネット言論であり、国家権力の乱用から国民を守るはずのマスコミが、情報操作ばかりしていて、本来の任務をおろそかにしている様な気がします。

 神戸事件が典型的な例ですが、1997年に神戸市で、小学生が殺害されて首を切断させる事件がありました。警察の捜査が難航したために、警察官が見込み捜査で14歳の少年が任意同行させ、無理な取り調べで自白を取り、裁判所の有罪に持っていきました。もし、陪審法が停止していなかったり、裁判員制度がこの時期からあれば、取り調べた警察官が、裁判員や陪審員の方から批判され、少年は無罪判決になり、名誉に傷をつける事はなかったでしょう。

 いくら国民の司法参加がない頃でも、マスコミが冷静に報道すれば、裁判所の判断も変わっていたでしょう。それなのに、週刊誌の「フォーカス」は、逮捕された少年の顔写真を掲載して、裁判官に偏見や思いこみを持たせる様にさせていました。そんな事をするから、「フォーカス」は休刊になったのではないかと思うのですが、他のマスコミも少年が真犯人の様な報道ばかりしていました。ネットの掲示板では、冷静に事件について考えているのに、マスコミは大丈夫なのか、と心配してしまいました。

 日本でミランダ事件の様な事件が起きれば、マスコミは被告人に性的暴行未遂事件の前科があるとさかんに書き立てるでしょう。ネット言論やジャーナリストの方は、被告人の前科と事件の事実認定は区別して考えるべきだと主張すると思いますが、マスコミの影響力の大きさに押されると思います。マスコミの方は、自分達の影響力の大きさの事を考えて、もう少し冷静になって、事件を報道して欲しいと思います。

第6話「裁判批評と表現の自由」(13)

気骨の判決―東條英機と闘った裁判官 (新潮新書)気骨の判決―東條英機と闘った裁判官 (新潮新書)
著者:清永 聡
販売元:新潮社
(2008-08)
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 今回は、日本帝国の言論弾圧事件として有名な尾崎行雄不敬事件について書きたいと思います。1942年4月、大東亜戦争中に唯一行われた翼賛選挙が行われました。反東条派として非推薦で立候補した尾崎行雄氏が、同士である田川大吉郎氏のための応援演説中に、天皇陛下に対する不敬の言葉があったとして起訴された事件です。

 不敬罪という報道に関わらず、右翼テロが騒がなかったのは、尾崎行雄氏の政治家のしての品格の高さだけではなく、治安維持法の成立に反対したり、軍縮を推進したり、1937年には暴走する軍部を批判する演説を行ったために、軍部や検察あたりから事件を行ったのだろうとわかったのでしょう。

 1942年10月から一審の刑事裁判が開かれました。尾崎行雄氏の弁護人は、海野普吉弁護士と鵜沢聡明弁護士という有名弁護士が担当しました。この当時は、戦時刑事特別法が施行されていたので、被告人1人につき、2人しか弁護士をつける事が許されませんでした。12月に、懲役8ヵ月、執行猶予2年という有罪判決を下されたので、大審院(今の最高裁)に上告しました。裁判所構成法戦時特例4条2号で、不敬罪について控訴が出来なかったからです。

 上告審の担当をしたのは、「裁判の書」の著書で知られる三宅正太郎氏を裁判長とする大審院第3刑事部でした。1943年6月23日に、大審院は、尾崎行雄氏の上告事件を調べなおすという方針を明らかにしました。そして、1944年4月14日、4月21日、5月9日と3回にわたって開かれ、1944年6月29日に無罪判決を言い渡しました。

 三宅正太郎判事を中心とする大審院は、被告人を「明治大正昭和ノ三代ニ仕フル老臣ナリ。其ノ憲政上ニ於ける功績ハ世人周知ノトコロ」という格調高い判決文を出して、不敬罪の成立を否定しました。ちなみに、三宅正太郎判事は、1945年6月にも、無協会派のクリスチャンであった浅見仙作氏の治安維持法違反の事件も無罪判決を出した事でも有名です。

 戦争中はどこの国でも、検察や警察の様な行政権力が暴走して、言論の自由が侵害されやすくなるのに、その重圧の中で、事実の証明がないという形で無罪の判決をして、言論擁護を死守しました。そして、大東亜戦争中の翼賛選挙を一部無効にした判決がありますが、これは「気骨の判決」(清永聡著、新潮社)で書かれているので、本屋で買って読んで見て下さい。

第6話「裁判批評と表現の自由」(9)

思想は裁けるか 弁護士・海野普吉伝 (筑摩選書 17)思想は裁けるか 弁護士・海野普吉伝 (筑摩選書 17)
著者:入江 曜子
販売元:筑摩書房
(2011-05-18)
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 河合栄冶郎事件とは、1938年10月に、当時の東京帝国大学教授であり、2・26事件(青年将校達が高橋是清首相や斎藤実首相達を暗殺した事件)の様な暴力革命を批判した河合栄治郎氏の著書が、内務大臣によって発売禁止処分を受けました。この年の12月に警視庁も取調べで、河合栄冶郎氏を召喚して、1939年1月に違法を肯定する内容が出ました。これに基づき、東京地方裁判所検事局(今の東京地検)も取調べを始めて、この年の2月に検察官である栗谷四郎氏の名義で、東京地方裁判所に予審請求を出しました。

 予審というのは、裁判所が簡単な審査で、公判で審議するか、控訴棄却で無罪の様な取り扱いにするかで、この予審請求の結果、中野保雄判事は、この事件を公判にするべきだと決定を出しました。問題になった著書は「ファッシズム批判」、「時局と自由主義」、「改定社会政策原理」、「第二学生生活」の4冊で、これが出版法27条「安寧秩序ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壊乱スル文書図画ヲ出版シタルトキハ著作者、発行者ヲ十一日以上六月以下ノ禁錮又ハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処ス」という規定に該当するというものであるかどうかが主な争点になり、海野普吉弁護士がこの裁判の弁護を担当しました。

 このあたりは「思想は裁けるか 弁護士海野普吉伝」(入江曜子著、筑摩書房)にも書かれているので、こちらの本も読んで欲しいのですが、一審で、河合栄冶郎氏とその著書の発行人である株式会社日本評論社の社長だった鈴木利貞氏は無罪判決を受けました。しかし、無罪判決を出した裁判長の石坂修一判事が、姫路地方の区裁判所所長に左遷され、さらに陪席判事だった兼平慶之助判事と三淵乾太郎判事が出世の機会を失ったために、次の検察官控訴の結果、逆転有罪判決を受けました。

 河合栄冶郎氏に罰金300円、日本評論社の社長だった鈴木利貞氏に罰金100円を言い渡されたので、すぐに大審院に上告しましたが、1943年6月に上告棄却になり、刑が確定しました。この事件で、一番残念だったのが、出版法が旧陪審法の対象外だったので、法務官僚が裁判官の人事権を悪用して、無理に有罪判決に持っていった事です。そして、次に残念だったのが、大審院の裁判長が三宅正太郎判事の様な立派な裁判官だったのに、一回の公判も開かれないまま、上告が棄却された事です。今の最高裁なら、「最高裁判事が腐っているから、仕方がない。」と諦めがつくのですが、大審院が忙し過ぎて、審議する時間がなかったのかと考えてしまいます。

第6話「裁判批評と表現の自由」

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
著者:板倉 雄一郎
販売元:日経BP社
(1998-11)
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 小沢一郎氏の元秘書達が有罪判決を受けた事に対して、ネット上で裁判官の批判があります。この事件について詳しくないのでよくわかりませんが、これが停止中の陪審制度で行われていたなら、少なくとも裁判官に対しての批判はなかったと思います。この事件での裁判官に対しての批判は、数多くの冤罪事件で、検察庁の圧力に負けて、無実の被告に有罪判決を下した国民の怒りがあります。

 「裁判官は日本を滅ぼす」(門田隆将著、新潮社)という本で、裁判官の非常識な面について批判をしていますし、一般人と官僚として育てられた裁判官の感覚の違いというのをどうにかしなくてはいけないと訴えています。それにしても、もう少し早く、こういった本を出版できなかったという気がします。「社長失格」(板倉雄一郎著、ビジネス社)で、著者が会社の創業に失敗して、自己破産を申請している時に、担当した裁判官から、「なぜ君は涙を流して、謝罪しないのだ!」と叱ったそうですが、あの鈴木商店の様な大企業でも倒産する様に、会社の経営は難しいという小学生でもわかりそうな事に気がつかなかった事を考えれば、早く、停止中の陪審制度を復活させるべきだという結論になるはずです。

 日本の裁判官は、法解釈なら、立派な専門家であると自信を持っていえます。だから、陪審制度の訴訟指揮などはまったく心配していませんが、事実認定について争う場合は、裁判官の信念の強さや一般的な常識をどれだけ持ちあわせているかにかかっているので、裁判の当事者でなくても、かなり心配になります。

 セブン・イレブンがフランチャイズの店に圧力をかけて、賞味期限が切れそうな商品を安売りさせないのは、違法行為だとする福岡地裁の判決がありました。この判決は立派なものですが、もしこれが大企業ではなくて、行政権力やNHKの様に特殊法人なら、こういった気骨のある判決を下せるのか心配になります。1912年の無罪率が3.8%なのに対して、今年(2011年)の無罪率が0.1%になりそうな感じなので、小沢一郎氏の元秘書達が冤罪事件に巻き込まれた可能性は否定出来ません。高裁の逆転有罪率75%なのに対して、刑罰が軽くなったり、逆転無罪が出る確率は15%くらいですが、高裁の裁判官の方は、もし検察の証明に疑問を持つようなら、無罪判決を出して欲しいです。そうでないと、裁判官の信頼はいつまでたっても取り戻せません。

第5話「裁判官の人事権の独立」(4)

愉快な裁判官愉快な裁判官
著者:寺西 和史
販売元:河出書房新社
(2000-04)
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 お盆休みに湯田温泉の足湯に入りました。少しのんびりしながら、寺西裁判の事を思い出したので、「裁判官の人事権の独立」の問題について書きたいと思います。この寺西裁判は、裁判官である寺西和史氏が、裁判所法52条の「積極的に政治活動をする事」の禁止が問題になった始めての裁判です。

 この裁判は、1998年4月18日に東京で開かれる盗聴立法反対の市民討論であるパネルディスカッション「盗聴法と令状主義」にパネリストの1人として招かれ、参加した事が高裁や最高裁によって、裁判所法52条後段の禁ずる積極的に政治活動をする事による職務上の義務を放棄したという違法行為となり、戒告する懲戒処分が下された事件です。裁判官が政治活動を行ったとして、裁判にかけられ、懲戒処分決定を下された事は、今まで例がありませんでした。言論弾圧が行われた昭和10年代の頃にもこういった例がなかったという事は、それよりもひどいというしかありません。

 寺西和氏判事がなぜ盗聴法に反対したかというのは、1997年10月8日の朝日新聞の声という読者投稿欄の「信頼できない盗聴令状捜査」という投書の中に書かれていますが、「法務省の法制審査会は令状により盗聴が行われるから心配ないという意見に対して、裁判官の令状審査の実態に触れている身としては、人権擁護の砦になるとは思えない。なぜなら、令状に関しては、ほとんど、検察官や警察官のいいなりに発行されている現実がある。」という見解を旭川地裁の判事補としての経験から示した事がありました。寺西判事が書かれた「愉快な裁判官」(寺西和史著、河出書房新社)という本もありますので、興味がある人は読んでみて下さい。

 裁判員法施行で裁判所の令状審査も少し厳しくなりましたが、1997年の令状却下率が0.1%なので、寺西判事の解釈は正しいと思います。それにしても、法務官僚は痛い所を突かれたので、権力にものをいわせて、言論弾圧をしたのでないでしょうか。法務官僚は、法律家らしく国会で、寺西判事や弁護士会との討論や議論でなぜ盗聴法成立が必要なのかという事を説明して欲しかったです。「裁判官の人事権」を握っている事をいい事に言論弾圧をするから、裁判官のレベルが落ちてしまうのではないでしょうか。

第5話「裁判官の人事権の独立」(3)

評伝・河合栄治郎―不撓不屈の思想家評伝・河合栄治郎―不撓不屈の思想家
著者:遠藤 欣之助
販売元:毎日ワンズ
(2005-11)
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 映画監督である北野武氏は、フジテレビに韓国スターを大量に起用している問題について、「見たくなければ、見なければいい。」と発言されました。その部分はいいのですが、その次に「ネットの書き込みを規制しなければいけない。」とコメントしましたが、これは明らかに言論弾圧につながる発言であり、検察官による言論弾圧に利用されそうな事はすぐに予想できます。

 かつて、暴走する軍部を批判した東京帝大教授の河合栄治郎氏が、警察官や検察官が出版法違反で起訴して、言論弾圧をするといった事がありましたが、ただでさえ、「東京都条例」で、検察官がその気になれば、言論弾圧が可能な状態なのに、これ以上、言論規制をされてはたまったものではありません。北野武氏には「評伝・河合栄治郎」(遠藤欽之助著、毎日ワンズ)でも見て、言論の自由を守る努力をして下さい。

 言論の自由について書きながら思い出しましたが、裁判官の人事権の独立の問題を考える上で、青年法律家協会の事も書きたいと思います。青年法律家協会は、1954年4月に、後の刑法学者の権威となる平野龍一氏や若手の法律家である加藤一郎氏によって創立され、やがて司法修学生や弁護士も加入するようになり、裁判官部会が創立されました。

 1970年代になると、青年法律家協会がベトナム戦争反対を訴えたために、法務官僚から「社会主義者の様な思想を持つ危険な団体」とされ、青年法律家協会に所属している裁判官に対して辞めさせる様になりました。もし辞めなければ、能力のある裁判官でも出世させないという圧力をかけて、思想弾圧に走りました。自分は青年法律家協会と何の関係もありませんが、そういう思想弾圧をするから、法務官僚である検察上層部のいいなりになった様な判決が出てしまいます。

 あと、なぜ青年法律家協会がベトナム戦争に反対したかといえば、憲法に忠実であり、人権擁護の精神に従って、戦争反対をしたいたのでしょう。アメリカのキング牧師も宗教家としての立場からベトナム戦争に反対したために、アメリカ政府に社会主義者として恨まれた事がありましたが、それと同じ様なものでしょう。法務官僚は、いまだに青年法律家協会所属の裁判官に対して思想弾圧をしていますが、青年法律家協会の機関誌である「篝火」がありますが、法律家の間でも取り扱い厳重注意を受けているので、知り合いの裁判官や検察官に相談しても、閲覧が出来ないのですが、青年法律家協会の精神の柱でもある「憲法に忠実に」という言葉を全国の裁判官が実行して、公平な裁判を実現して欲しいです。

第4話「陪審制度は平和と安全の試金石」

新装版 白い航跡(上) (講談社文庫)新装版 白い航跡(上) (講談社文庫)
著者:吉村 昭
販売元:講談社
(2009-12-15)
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 今日、喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら、海軍軍医の高木兼寛氏の評伝を描いた「白い航跡(吉村昭著、講談社)」を読みました。高木兼寛氏は、脚気が食事の栄養バランスが欠ける事によって起こる病気である事を発見して、多くの日本人を救った人ですが、今の日本人にあまり知られていないのが残念です。そういう自分も高校生の時にこの本を読むまでは、脚気の原因は、日露戦争前になって、海軍の軍医によって発見されたくらいしか知りませんでした。今でも本屋で、この本を置いているそうなので、よかったら読んで見て下さい。

 前回はアメリカの連邦最高裁判所について紹介しましたが、連邦最高裁判所(United States Supreme Court)で全員一致の判決が出る事はあまりありませんが、日本の最高裁判所では97%くらいが全員一致の判決だそうです。自分がカナダに留学している時に、カナダ人にこの話をすると、笑いながら「日本の民主主義はポーランドの様に弱い。」と言われた事がありました。日本やヨーロッパ大陸国家であるポーランドの様に官僚の権力が大きい国を、英米法系のカナダで育っている人から見るとそういう風に見えるのかな、と思いました。

 そういえば、週刊東洋経済6/25号の「ミスターWHOの少数意見」に、ライブドア社の粉飾決算事件や村上ファンドのインサイダー取引の事件の判決文は、経済や投資について理解していない。安く株式を購入して、高く売却するのは当たり前である。日本の最高裁判所判事は立派な人であろうが、年をとりすぎて経済の知識があまり無いのではないか、といった内容が書かれていました。

 アメリカやカナダの最高裁判所判事は年をとった人が多くても、難しい経済事件について立派な判決を下せるから、年齢はあまり関係ないでしょうが、雑誌のコラムで批判する人がいなかったから、裁判所の判決文と国民の感覚にズレが生まれたのでしょう。だから雑誌のコラムや評論家や法律家のブログで裁判所の判決文について批判が出来る様になれば、裁判所も変れるでしょう。最高裁判所判事が今週の東洋経済のコラムを読んで、国民の感覚を反映させるきっかけになって欲しいです。

第3話「自白は証拠の女王」(13)

戦場の田中角栄戦場の田中角栄
著者:馬弓 良彦
販売元:毎日ワンズ
(2011-01)
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 今日、本屋で「戦場の田中角栄(馬弓良彦著、毎日ワンズ)」という本を買ったので、喫茶店でカプチーノを飲みながら読みました。内容は田中角栄首相の再評価という本ですが、この本に書かれているのは、「田中角栄再評価(田中角栄を愛する政治記者グループ著、蒼洋社『発行』、プレーン出版『発売』)や「日本の政治(田原総一朗著、講談社)」の内容とそっくりなので、あまりたいしたことはないですが、フジテレビの「HERO」という人気ドラマの影響で、検察官は正義の味方と思っている人はぜひ読んで見て下さい。

 ロッキード裁判の時に、日本の最高裁判所が証拠も証人もないのに、田中角栄元首相を別件逮捕した検察庁を助けるために、田中角栄元首相に5億円の賄賂を渡したとされるロッキード社経営陣に刑事免責を与えて、ロッキード社経営陣に証言をさせて、その証言に反対尋問権を与えないというとんでもない事をしました。反対尋問権を認めなければ、東京裁判の様に偽証をしても構わないという暗黒裁判になり、冤罪事件が止まらなくなります。というより、陪審法が大東亜戦争のどさくさで停止してから、暗黒裁判になってしまいましたが・・・。

 マスコミはこの検察官と最高裁判所判事の大暴走に批判をするどころか、情報源を検察官に頼っているので、見てみぬふりをしたり、雑誌「諸君!」に田中角栄元首相の反対尋問権を保障するべきだと主張した石島泰弁護士や英文学者の渡部昇一氏に対して、すざましい批判というか罵声を浴びせました。さすがに1995年に最高裁判事も刑事免責を与えた証言を排除したり、大野最高裁判所判事は補足意見の中で、「反対尋問権の不可能な証言の採用は刑事訴訟法1条の精神に反する」と述べられましたが、マスコミが検察庁や裁判所の監視をしていれば、裁判所も憲法76条3項の「裁判官の独立」を破る事はなかったでしょう。

 普段、マスコミは憲法や人権を守れと言っているのに、検察庁や裁判所が国家権力の暴走を抑える憲法を破り、国民の人権に危害をくわえようとしているのに、見てみぬふりをしたり、石島泰弁護士や渡部昇一氏の様に国家権力の暴走を止めようと勇気のある発言をしている人達に批判をするし、さらにロッキード裁判は何も問題点が無かったかの様に情報操作をする態度を治して欲しいです。

 マスコミも国民の信頼を失い、倒産したくなれば、もう少し、少数意見の批判者の「言論の自由」を尊重するべきです。陪審制度の評議の様に「自由で活発な意見が出ることによって、社会が発展して、国民全体がその利益を受け取る」はずです。今の不景気も大地震や菅直人内閣のせいだけでは無く、マスコミが検察官の暴走を監視する義務を放棄しているので、外国人投資家が検察庁の暴走を気にして、なかなか日本に投資出来ない面が非常に強いのではないでしょうか。

第3話「自白は証拠の女王」(10)

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(1) (ジャンプコミックスデラックス)もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(1) (ジャンプコミックスデラックス)
著者:椿 あす
販売元:集英社
(2011-05-02)
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 東京に住んでいる自分の友人が「もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)」の映画を今週の週末に見に行くそうです。この映画は略して「もしドラ」と言うそうですが、「もしドラ」の漫画版が集英社から発売されているそうなので、ある程度、巻数が増えたら、「honya club(本やタウン)」で注文して、読んで見ようと思います。

 話題の作品も読んで見たいけど、自分の部屋に読んでない本や雑誌がたまっているので、「拝金(堀江貴文著、徳間書店)」の様に漫画版が出るのなら、漫画をまとめて読んだ方がいいと思っています。そう思っていたけど、近くの本屋で「収監(堀江貴文著、朝日新聞社)」が平積していたので、ついつい買ってしまいました。週刊朝日で、ホリエモン氏がコラムを掲載していたので、このコラムを読むために毎週本屋で買っていました。今週、週刊朝日を買ったら、ホリエモン氏のコラムがなくなっていたので、残念でした。

 もうそろそろ、ホリエモン氏が刑務所に収監されるのだなあと感じてしまいました。そして、実務経験のある弁護士を裁判官にする法曹一元制があれば、検察庁の面子をたてて、無理やりホリエモン氏に実刑判決を下す事はなかったと思いました。それに陪審法を復活するのであれば、法曹一元制は必要になってきます。

 日本帝国やオーストラリアの様に官僚裁判官制度でも陪審制度はある場合もありますが、この場合、裁判官が陪審員をコントロール出来ないので、かなりの法律家は陪審制度を評価しますが、一部の裁判官から陪審制度を嫌ってしまいます。日本でも陪審制度を導入しても、法務官僚の反発で陪審法の欠陥が生まれてしまいましたし、1980年代からの陪審復活運動で、ようやく「国民の司法参加」が実現しそうでしたが、停止中の旧陪審法よりも欠陥の多い裁判員法になってしまいました。

 それに冤罪事件の再審無罪が出ると、身内である検察官や誤判をした裁判官の面子がなくなってしまうので、再審請求を認めない傾向が非常に強いから、そういう弊害をなくすために、法曹一元制は導入するべきでしょう。

第3話「自白は証拠の女王」(9)

生徒会の一存 4 (ドラゴンコミックスエイジ と 1-1-4)生徒会の一存 4 (ドラゴンコミックスエイジ と 1-1-4)
著者:10mo
販売元:富士見書房
(2010-12-09)
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知り合いの裁判官が「生徒会の一存(10mo画、葵せきな著、富士見書房)」の5巻が6月20日頃に発売されるので、とても楽しみにしているそうです。この漫画は「ジョジョの奇妙な冒険(荒木飛呂彦著、集英社)」のパロディがありとても面白いそうです。話を聞くと、結構面白そうなので、5巻が発売された時に漫画をまとめて買うつもりです。

 「ジョジョの奇妙な冒険(荒木飛呂彦著、集英社)」で、水がいっぱいに入っているコップにコインを交互にいれて、水がこぼれた方が負けというゲームがあり、当時の日本で流行っていました。自分が中学生の時にこのゲームを友人とよくやっていましたし、知り合いの裁判官も司法試験の勉強の息抜きで、友人とよくやっていたそうです。この「生徒会の一存(10mo画、葵せきな著、富士見書房)」の4巻でこのパロディをやっているそうです。

 それにしても、「東電OL殺人事件」で無実のゴビンダ氏を逆転有罪判決を下した高木保裕判事が女子中学生を買春した容疑で逮捕された事があるので、裁判官は、高木元判事の様に非常識な人が多いと思われています。今日のニュースで、村上世彰氏がライブドア社と一緒に放送局の買収の時に、インサイダー取引をした容疑で有罪が確定しましたが、常識で考えれば、ライブドア社が資金調達する前に村上世彰氏が放送局の株式を持っていたので、無実という事が証明出来ます。こんな事実認定を裁判官がやっているから、裁判官はろくでもない人達の集まりだと誤解されています。

 それについて、知り合いの裁判官は、刑事事件や民事事件で、人間の汚い部分をずっと見ているから、一般人の感覚がずれてしまってしまう。だから、陪審制度を再導入して、一般人の感覚に近づけなければいけない。それに陪審制度が復活すれば、多くの人が刑事事件の陪審員選定で裁判官と話す機会が増えるので、そういった誤解も解けるだろう、と話してくれました。それについて自分も同じ意見ですが、まずは実務経験のある弁護士を裁判官にする法曹一元制の導入をするべきでしょう。

第2話「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」(14)

私がしたことは殺人ですか?私がしたことは殺人ですか?
著者:須田セツ子
販売元:青志社
(2010-04-06)
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 ライブドア社の粉飾決算事件の裁判で、会社の利益や売上げを水増していない会計処理は成長型粉飾であり、カネボウの様な隠弊型粉飾よりも悪質だという東京地裁の判決文を東京高裁と最高裁が認めてしまった事で、「日本の刑事裁判はかなり絶望的である」という事を世界にアピールした様な気がします。

 ライブドア社よりも透明性の高い企業というのは、そんなにないようなので、検察庁がその気になれば、たいていの企業は粉飾決算事件として摘発出来るという事になりました。それに最高裁のお墨付きがついてしまったので、地裁判事や高裁判事にはこの判決文に従わざるを得なくなり、冤罪だとわかっていても有罪と宣告してしまう様になってしまっています。

 去年、意識不明の患者を家族の訴えに従って安楽死をさせた事件で、最高裁は執行猶予付の有罪判決を下した事がありました。(詳しいことは、「私がしたことは殺人ですか」(須田セツ子著、青志社)を読んで見て下さい。)殺人罪の犯罪構成を満たしていれば、裁判官は有罪と宣告しないといけなくなります。

 それと同じ様にライブドア社の粉飾決算事件の様な事件を摘発してしまうと、裁判官は有罪判決を下してしますので、最高裁が自らの誤りを認めて、判決文を破棄するのが一番いいのですが、面子にこだわる最高裁がそんな事をするとはとても思えません。

 停止中の陪審法が日本国憲法に合うように復活すれば、陪審員達が一般常識を反映して、この問題になっている判決文を覆す事が出来ます。法務官僚達は判例に影響を与えるのは良くないと反論しますが、アメリカのホームズ判事は「陪審が実体法に影響を与える事は悪い事ではない。法律というものは社会からずれやすいのであり、陪審によって、社会の願望と法の調和が保たれる。」と語った事がありました。最高裁判事や法務官僚は、ホームズ判事の言葉をかみしめて欲しいものです。

第2話「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」(10)

怪盗ルパン奇巌城 (集英社文庫)怪盗ルパン奇巌城 (集英社文庫)
著者:モーリス・ルブラン
販売元:集英社
(1992-11-20)
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 2006年におきたライブドア社の粉飾決算事件について、ホリエモン(堀江貴文)氏の実刑判決が確定しました。裁判官に先入観を持たせてはいけないという刑事裁判の鉄則があるので、この事件については今まで触れてきませんでしたが、そもそも200億円以上もある個人資産の持ち主が、たった53億円の粉飾決算を指示するというもおかしいと思います。

 刑事裁判において、検察側が被告人の犯罪を立証しなければならないのに、一般人なら誰でも持つ様な疑問がさらに深まっているような感じでした。ライブドア社の粉飾決算事件の裁判(ライブドア裁判)では、検察官の不利益部分を裁判官が無視したり、論理的でない理論でごまかしたりしていました。

 ホリエモン氏が東京地裁で実刑判決を受けた時、停止中の陪審法があれば、無罪の評決が出ただろうと思いました。東京地裁の裁判官は優秀な裁判官が多いので、無罪の評決を認め、無罪判決文を出したでしょう。もし、陪審員の評決が気に入らなくて、もう一度、別の陪審にかけてもまた無罪の評決が出て、どっちにしても無罪が確定したと思います。そう思っていても裁判官に偏見を持たせてはいけないと考えているので、こういった事をネットの掲示板にも書けませんでした。

 阪神大震災が起きて、世界中の人達が心配しているのに、そのどさくさにまぎれて、最高裁はいろいろ問題点を抱えていたロッキード事件(田中角栄元総理がロッキード社から5億円の賄賂を渡されたとされる事件)の有罪判決を確定させたから、ライブドア裁判もこの東日本大震災のどさくさにまぎれて、有罪を確定させるのではないかと思い、法律家の平野龍一氏の「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」という論文を紹介しましたが、悪い予感が的中して、非常に残念です。

 そして、東電OL殺人事件の冤罪事件に巻き込まれて、横浜刑務所から再審無罪を求めているゴビンダ氏も日本の最高裁の閉鎖性を見せつけられ、悔しい思いをしているのではないでしょうか。早く最高裁は停止中の陪審法を改良復活して、閉鎖性のある体質を直してほしいものです。

第1話「カナダ滞在記」(10)

BlogPaint前回に続いて、京都大学のカンニング事件の事ですが、被疑者が逮捕されて、どういった容疑で逮捕されたのかと思って、ネットで調べたのですが、「偽計業務妨害」だそうです。この「偽計業務妨害」というのは、電話で脅迫電話をかける事を規制する法律なのに、ネットを使ったカンニングを適用するとは思っていませんでした。

 逮捕令状を出した裁判官もその事はわかっていると思いますが、あのマスコミの過剰報道で、逮捕令状を出さないとマスコミに何を言われるかわからないといった恐怖から、罪刑法定主義(刑事事件について法律を拡大解釈してはいけない)を無視してしまったのでしょう。

 捜査機関のでっちあげで、第二次大本教弾圧事件が起きた時、1942年7月に大阪控訴院で高野綱雄判事が、治安維持法について無罪判決を出した事がありました。(ただ不敬罪について有罪なのは残念でしたがが・・・。)この高野綱雄判事の様に、今の裁判官ももう少し冷静に判断をして欲しいです。

 そして、過剰報道を懲りずにやっているマスコミは、「メディアスクラム」(鶴岡憲一著、花伝社)を読んで、冷静に報道をして欲しいです。

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メディアスクラム―集団的過熱取材と報道の自由メディアスクラム―集団的過熱取材と報道の自由
著者:鶴岡 憲一
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 マスコミは国家権力の監視をするという高貴なる義務がありますが、営利企業であるために、過剰報道で事件の被害者に無責任な質問をするという問題も起こしています。そういったマスコミが抱える負の問題点にスポットを当てている作品ですので、興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。
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